1/2ページ目 「しかしまあ早いものだなぁ…」 「あれから5年になるものね」 友人にしては近く、夫婦にしては遠い。2人の距離はそんなものだった。 「奈津子」 不意に、向かいに座る女の名を男が呼んだ。その声は真剣で、彼女の碧い瞳を真っ直ぐに捉えている。 「なに?」 「……その…前から考えてはいたんだが、もう一度、一緒に生きてくれないか?」 「えっ………?」 「上手くやっていく自信があるわけじゃないが、考えてほしいんだ」 「裕明さん……」 暫しの沈黙が続く中、奈津子は必死に声を絞り出した。 「散々勝手なことをしておいて、今回のことも勝手だとは思うけど……私も、もう一度あなたと…生きたい」 緊迫した空気が、徐々に柔らかなものになった。 喫茶店を出て歩く2人の手はしっかりと繋がっていて、共に歩む未来に真っ直ぐ向かって行った。 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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