1/2ページ目 「じゃあ、行って来ます」 「待って! ネクタイ、曲がってるわよ」 「え? そうかな?」 「じっとしてて。今直すから」 ネクタイを結ぶのになかなか慣れなくて、でも甲斐甲斐しく直してもらえるのは嬉しい。上目使い、可愛いな。 「はい、いいわよ」 この瞬間、いつも僕は近すぎる距離を意識してしまう。 「ありがとう」 あと少し近付けば触れられる。そんな距離にいる。 「樹莉……」 吐息が触れ合い、唇には柔らかいものがぴったり重なった。 「…………ん?」 ふと気付くと布団の中。なんだ、夢か。なんだか布団の中がいつもよりも温かくて目を向けた時、思わず叫びそうになって口を塞いだ。 「それでか……」 僕の隣で眠っているのは、夢にも現れた君。きっと君がいるからあんな夢を見たんだね。いつか訪れる未来もあの夢みたいに一緒にいられたらいいな。 「サラリーマンにはならないだろうけど」 まだ外は暗い。君の温もりを感じながら、もうひと眠り。 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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