1/10ページ目 「俺たちにとってはホワイトデーの方が普通だけど」 「なぁ!」 冒険が終わっても、私たちは連絡を取り合い、たまには会うようにしている。 今日はバレンタインだから、一応みんなにチョコをあげた。 ……義理だけど。 「泉さん、本命は渡さなくてもいいの?」 友樹の爆弾発言に、私たちは5人揃って固まった。 「や、やーね! 本命なんているわけないじゃない!」 年下なのに、いや、年下だからかな? 友樹は普通に言いたいこと言うのね。 私の否定に固まっていた拓也たちもほぐれたみたい。 …………しょうがないわよね。 みんなの前で本命チョコ渡すなんてできないし。 それに、中身は別だから、ひょっとしたら本命だってわかってくれるかもしれない。 淡い期待を抱えたまま、今日の集まりはお開きになった。 「泉」 「どうしたの?」 帰りかけた私を、輝二が呼び止めた。 他のみんなはもう帰路についている。 「ヨーロッパでは、花やカードを贈るのが一般的だって聞いたから……」 手渡されたカードは、シンプルで輝二らしかった。 「ありがとう」 「いや……」 慌てたように背を向けて歩き出した輝二の耳が、真っ赤になっているのが少し見えた。 カードには、 『Ti amo』 とだけ書かれていた。 わざわざイタリア語で書いたのは、私だけがわかるようにってことなの? 冷たい風が冷やかすように熱くなった頬を撫でた。 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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