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メモリアル 2015
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「空、まだか?」
「すぐ行くわ」
 夏休みも部活三昧な私たちは、毎日のように練習がある。それなのにいつもより少し遅くなったのは、今日が特別な日だから。今日の部活が終わったら、みんなで集まる予定。ミミちゃんやヒカリちゃんはきっとお洒落をしてくるだろうから、私もちょっと意識する。今は仮にも太一の彼女なんだし。

「お待たせ」
「おう」
 並んで歩き出すと同時に手を繋ぐ。当たり前のようなその行動が嬉しくて、ちょっと強めに握り返した。
「あっついよな〜。雪、降らねえかなぁ?」
「あんな異常気象はもう十分よ。暑いんだったら離す?」
「それとこれとは別だ」
 むきになってぎゅっと手を握る太一がなんだか可愛くて、思わず笑ってしまう。
「なんだよ」
「別に」
 異常気象を求めてはいないけど、平穏な毎日に退屈さを感じているのも事実だ。個人差はあれど他のみんなも少なからずそうだと思う。
「太一」
 無言で先を促す彼に、少しだけ色気を含んだ(と自分では思う)眼差しを向ける。
「今日の練習でシュートが決まったら……」
「決まったら?」
「――――なんてどう?」
「約束だぞ」
 低くなった声に何故かどきりとして、目を逸らしたまま小さく頷いた。
「行こうぜ」
「うん」
 時間はまだあるのに、自然と走り出した。たくさんの大切なことを知った、あの夏の日のように。
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