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Only Lonely Christmas〜ここにいてくれたなら〜
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 ほう、と吐いた息が白く染まる夜。そこかしこで見かけるカップルのようにあの人が寄り添ってくれたら。約束もしてないのにと、乾いた笑みが零れる。
「返事、ないよね……」
 留守電を聞いていないのか、聞いた上で何も言ってくれないのか。どちらにしても脈はないと思う。あたしのことは妹くらいにしか思ってくれない人。ちらつく雪や吹きすさぶ風に触れても消えない熱い想いをあたしに教えた人。

 ねえ、柳宿。今誰かと一緒なの? あたしは毎日だってあなたに逢いたいのに……
 言えない気持ちが涙となって溢れ出す。

「美朱っ!」
 強く腕を引かれたかと思えば、次の瞬間には抱きしめられていた。この甘い香り、細いのに力強い腕、何より聞きたくてたまらなかった声。
「柳宿……?」
 あてもなく歩いて冷え切った体を温めるような抱擁が心地よくて、嬉しくて。心まで温まっていくみたい。
「こんなに冷えて。寒かったでしょ?」
 言いながらあたしの頬を包んでくれる柳宿の手もいつもより冷たくて、そっと自分の手を重ねる。
「柳宿も、手冷たくなってる……」
 白くて綺麗な手だけど、その大きさはやっぱり男の子のもので。意識したら鼓動が跳ねた。
「急いでたから、手袋忘れたわ……」
 そう言ってポケットから小さな包みを取り出す。
「これ……松ぼっくり?」
「クリスマスツリーと言ってちょうだい」
 コーヒーフレッシュの小さなカップの上、鮮やかな緑に染まった松ぼっくりが星などの飾りを従えて収まっている。
「もしかして、これ作ってたから連絡なかったの?」
「ほんとはもっと早くできてる予定だったんだけどね。なかなか時間取れなくて、やっと今日できたのよ」
 駅前やお店に飾られているツリーみたいな華やかさはないけど、好きな人が一生懸命作ってくれたものだから大切にしたい。
「メリークリスマス、美朱」
「ありがとう。あっ、あたし柳宿に何も用意してない……」
 逢えるかどうかも分からなくてプレゼントを買っていなかった。プレゼントの代わりになるようなものも持ってないし……
「じゃあ、ちょっと付き合ってくれない?」
 そっと手を握られてまたどきっとした。恋人繋ぎじゃないけど、こんなことされたら勘違いしちゃうよ? でも一緒にいたいから返事の代わりにその手を握り返す。
 ねえ、柳宿。伝えてもいいの? 一緒にいられるのは今日だけなんて嫌だから、もっともっと一緒にいたいから。
「柳宿」
 隣を歩く彼の横顔を見上げる。ちゃんと言葉で伝えるから、受け取って?
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