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キスの日 2018
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 柳宿はキスが上手だ。
 柔らかく蕩けるように口付けては彼女を夢中にさせる。その心地よさがテクニックによるものではないと気付いたのは、つい最近のことだった。

「美朱」

 ただ名前を呼ばれただけなのに、胸がキュンとする。甘い雰囲気の中目を閉じれば、ゆっくりと彼の顔が近付いて……

「……あっ!」
 期待していた温もりが首筋に触れた瞬間、思わず身を引いて寝台に倒れ込んだ。ほのかに甘い熱が残るそこを指でなぞる。柳宿は軽く溜め息を吐き、きゅっと指を絡めた。
「あんた、反射神経だけはいいわよねぇ」
「み、見えるとこはダメって言ったじゃない!」
 以前、首筋につけられて恥ずかしい思いをしたことがあるのだ。それ以来彼の耳にタコができるくらい、見えるところはダメだと言い続けている。
「じゃあどこならいいのよ?」
 そう聞かれると少し返答に困る。見えないところを自分から見せるのはまだ恥ずかしかった。濡れた服は平然と脱がせるくせに、こういう時の柳宿は絶対に脱がせようとしないのだ。
「教えて? どこならいいの?」
「やっ……」
 逃げられない。顔を背けようにも、額を重ねられてしまえば熱い眼差しに捕らわれてしまう。
「美朱……」
 絆すように名前を呼ばれ、のぼせそうなくらい頬が熱くなる。優しく頬を撫でる彼の指先も、同じくらい熱かった。
 額が離れた時に綺麗な肌がちらりと目に入る。きめ細かな白い肌によく映える、朱雀の字(あかし)。ふと思い立ってブラウスのボタンを外す。
「ここに、つけて……?」
 左の鎖骨下を示せば、柳宿は頬を染めながらそこに顔を近付けた。ちくりと甘い熱が走り、彼の唇が離れた時には鮮やかな赤がその存在を主張していた。
「柳宿、ありがと」
「ん」
 恥じらいが勝ってはいたが、つけられるのは嬉しかった。そんな気持ちを少しでも伝えたくてぎゅっと抱き付く。髪を梳くその指は、伝わってると言ってくれているようだった。
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