1/4ページ目 髪を撫でる 今日は髪をひと房手に取られた。唇を重ねたまま薄目を開ければ、毛先をくるくると指に巻き付けている。 琥珀色の瞳が顔を覗かせ、すっと離れた唇が指先に向かう。一層胸が高鳴るのは惚れている証だろう。 「本当に、君は可愛い人ですね」 指に絡んでいた髪が解かれ、別のひと房が梳られる。 「べ、弁慶さんって、髪触るの好きですよね?」 理由を問えば暫しの逡巡の後、耳元で紡がれる熱い言の葉。 「言葉にならないから、でしょうか」 「えっ?」 「今の幸せは、僕には考えられなかったことなんです。君が傍にいてくれることも含めて」 だから少しでも伝えたいのかもしれません、この愛しさを。 そう告げた彼の双眸は本当に幸せそうで。望美もまた、今の幸せを改めて実感した。 「じゃあ、私も触れていいですか? 弁慶さんの髪に」 「ええ。望美さんになら、いくらでも」 口付けを交わしながら、僅かに波打つ絹糸にそっと指を絡めた。 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
[編集] |