新生活
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だけど僕は、誰もが感じる入学直後の緊張感ではなく、呼び方が変わったことに対して違和感を感じていた。
「タケル君、あんまり考え込むと明日あたりに知恵熱出ちゃうよ？」
「ヒカリちゃん…」
付き合いの長さからか、ヒカリちゃんにはお見通しらしい。
「そうだ!!早く慣れるようにこれから石田君って呼ぶね♪」
「ええっ!? よそよそしいから止めてよ!!」
ヒカリちゃんには今まで通り名前で呼んで欲しい。
「石田君、帰ろう」
「帰らない。僕、ヒカリちゃんが名前で呼んでくれるまで離さないから」
するとヒカリちゃんは僕の手をやんわり振り解いて微笑んだ。
「冗談よ。でも、考え過ぎるのは良くないから、少しずつでいいんじゃない？」
「………うん。そうだね」
焦っても仕方ないから、少しずつ慣れよう。
石田タケルという、新しい名前に。
「でも、名字で呼ばれるの、嫌いじゃないんだよね」
「…やっぱり石田君て呼ぼうかな」
「ヒカリちゃんには名前で呼んで欲しい!!」
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