恥ずかしそうに 包み込む
1/2ページ目
 焼きたてのパンの、ほんのり甘い匂い。パン屋だから僕の家はいつもそんな匂いがする。その匂いを温かくて優しいって言ってくれたのは君だったよね。
「じゃあ、行って来ます」
「待って! ネクタイ、曲がってるわよ」
「え? そうかな?」
「じっとしてて。今直すから」
 ネクタイを結ぶのになかなか慣れなくて、でも甲斐甲斐しく直してもらえるのは嬉しい。上目使い、可愛いな。
「はい、いいわよ」
 この瞬間、いつも僕は近すぎる距離を意識してしまう。
「ありがとう」
 あと少し近付けば触れられる。そんな距離にいる。
「樹莉……」
 吐息が触れ合い、唇には柔らかいものがぴったり重なった。



 「…………ん?」
 ふと気付くと布団の中。なんだ、夢か。なんだか布団の中がいつもよりも温かくて目を向けた時、思わず叫びそうになって口を塞いだ。
「それでか……」
 僕の隣で眠っているのは、夢にも現れた君。きっと君がいるからあんな夢を見たんだね。いつか訪れる未来もあの夢みたいに一緒にいられたらいいな。
「サラリーマンにはならないだろうけど」
 まだ外は暗い。君の温もりを感じながら、もうひと眠り。
[指定ページを開く]

次n→ 

<<重要なお知らせ>>

@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
@peps!・Chip!!は、2024年5月末をもってサービスを終了させていただきます。
詳しくは
@peps!サービス終了のお知らせ
Chip!!サービス終了のお知らせ
をご確認ください。



w友達に教えるw
[ホムペ作成][新着記事]
[編集]
無料ホームページ作成は@peps!
無料ホムペ素材も超充実ァ