君がいる朝
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 優しく体を揺さぶられ、可愛い声が僕の名前を呼ぶ。

「そろそろ起きて。朝ご飯、冷めちゃうよ?」
「もう少し、寝かせて……」
「10分前もそう言ったわよ」
 笑いを含んだ声が窘めるように言った。それもまた心地よくて、だからついずるずると甘えてしまうのだろう。
 君が傍にいてくれる。それだけで幸せで、夢ならずっと見ていたい。

「ほら起きて、お寝坊さん」
 ふわり、頬に柔らかい感触。え、なにこれ。思わず目を見開けば、視界に飛び込んでくる桃色の唇。
「ヒカリちゃん? 今何したの?」
「ちゃんと起きたら、教えてあげる」
 内緒と言わんばかりに、立てた人差し指が唇に触れる。これは、キスされた、んだと思う。
「こっちにはしてくれないの?」
 唇を指差せば、それはそれは愛らしい笑顔できっぱりと断られた。
「寝起きだから、イヤ」
 そう言って部屋を出て行く彼女。パタンと閉まる扉、静まり返る部屋。
「寝起きだからって……」
 寝起きじゃなきゃいいのか。うん、確かにヒカリちゃんがいるのにいつまでも寝ているのは勿体ない。せっかくのお泊まりデートだし。身支度を整えて、朝ご飯を食べよう。
 それから、キスもしてもらおう。僕は寝間着を脱いで、枕元に置いてある服を手に取った。
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