月見草

ある日 少年の僕は空に橋を見つけて
「必ず触れてみせる」と高をくくった
息を切らした先に 七色の根本を捉えて
歩み寄ると虹はあとずさった

近付いた分だけ遠ざかる
幼い僕は 夢を知った

すぐ側にあるのに
目の前にあるのに
触れられないもどかしさを噛み締める
繋がってるのに
繋がってたのに
叶わない夢への旅

ある日少年の僕は
川に永遠を見た
雪融けの小川に始まり
長い旅路を経て
辿り着く場所は 地上より広い場所
そうして永久に流れ続けるのだと

角ばった岩が小石になる
幼い僕は時を知った

過ぎた場所にはもう戻れないと
認めたくない悔しさに包まれる
流れてるのに
流されてるのに
届かない時間の旅

橋の消えた空が少し泣いた
哀れむように 包み込むように
涙を含んだ川が少し早まった
いつかの小石はどこへやら

ある日少年だった僕が独り空を仰ぎ
月見草の咲く頃 始まった物語
呼吸に疲れる度に思い出そうとするのに
記憶は何にも照らさない

すぐそばに居たのに
僕の中にあったのに
気付けない哀しさを噛み締める
繋がってたのに
繋がってたから
…触れたい
もう二度と出会わないと知っているから
一瞬も焼き付ける
流れる中で
通り過ぎる景色と
続いて行く終わりへの旅


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